タイ発、実話ベースの恐怖と親子愛:最新ホラー「バーンクルア 凶愛の家」レビュー
ホラー映画の醍醐味といえば、人間の根源的な恐怖を刺激すること。2024年注目のタイ映画『バーンクルア 凶愛の家』は、その期待に応えてくれる作品でした。この映画は、タイの実話をもとにした物語です。今、ホラーはタイが激アツ。2021年公開で話題をさらった『女神の継承』では、モキュメンタリー形式を採用することで、現実と虚構の境目を曖昧にし、観客にリアルな恐怖を体感させました。その手法が新鮮で、タイホラーの実力を世界に知らしめましたが、『バーンクルア 凶愛の家』はまた違ったアプローチで、実話ベースのストーリーによりリアルな恐怖を追求しています。タイ文化特有の儀式や伝承を映像に落とし込みながらも、普遍的なテーマを描くことで、観客に深い余韻を残す作品となっています。この記事では、その魅力をお伝えします。
あらすじ
夫のクウィンと7歳の娘インと3人で暮らす女性のニン。経済的な理由から家をライリー(元医師と名乗る女性)とその娘ニッチに貸し出して、3人はもともと住んでいたマンションに移り住むことにします。マンションに移り住んですぐに夫のクウィンが奇妙な行動を取りはじめ、徐々に違和感を抱くようになるニン。やがて、ニンは夫の胸に三角のタトゥーがあること、毎朝4時に外出していることを突き止めます。夫の行動がますます不気味になる中、ニンは娘が見えない邪悪な力に狙われていることを知り、カルト集団と夫から娘を守ろうと決意をするのですが…というものがたりです。
公式サイトはこちら→https://kyoainoie-movie.com/
隠された愛情と切ない結末
ストーリーとしては「継承もの」としてありがちかなと思いましたが、一癖ある展開でした。
映画の核心は「愛と執着」。夫の正体が明らかになるにつれ、恐怖の中に人間の愛情が垣間見えます。
カルトも怖いが、夫も怖い。
結末は、ただのホラーでは終わらず、観客の心を揺さぶる感動的なものに仕上がっています。女優さんの演技が上手で最後はホロっとしてしまいました。単なる怖い話ではなく、深いテーマを内包したストーリーは、多くの人の胸に響くことでしょう。
異文化の中でも普遍的な恐怖
タイの映画にはあまりなじみがないのでどうかなと思いましたが、割とすんなりと入っていけました。タイホラーの特徴は、その独特な文化や風習が描かれる一方で、恐怖そのものは普遍的で日本人にも十分伝わるところです。見えないものへの恐れや、呪いの存在感といった要素は、むしろ日本のホラーと通じる部分があり、親しみやすさを感じます。
では、タイのホラーならではの怖さとはなにか。それは湿度を感じさせる映像や、儀式にまつわる異質な不気味さ、なのかもしれません。日本のホラーとはまた違うテイストで、「怖い」の幅を広げてくれるのが魅力です。タイホラー、侮れません。
まとめ
「バーンクルア 凶愛の家」はホラー好きな方なら見て損はないと思います。タイ文化の深みを味わいながら、愛と恐怖が絡み合い、最後には泣けるホラー映画を是非、体感してみてください!