背筋さんの新刊「口に関するアンケート」、ミニサイズだけど、怖さはMAX!
なんとも奇妙な本を見つけました。
「口に関するアンケート」背筋 ポプラ社 550円
サイズ:縦11.5㎝、横8.5㎝
ミニサイズの手帳のようです。
背筋さんといえば、モキュメンタリー「近畿地方のある場所について」が一躍ブームを巻き起こした話題の作家さん。これは一癖ありそうだということで、購入し読んでみました。
登場人物は5人いまして、一人一人が、誰かに語っている?もしくは独白している?ような形式になっています。5人の語る内容をヒントに読者はひとつひとつ、ピースをつなぎ合わせていくような構造です。読みながら、場面を想像しますよね?この人たちはいったいどこでどんな状況でこれを語っているんだ、と。それが明らかにされないまま進むので、おそらく読み手によってさまざまなシチュエーションが頭の中に描かれていくはずです。
一読しただけでは、「え?どういうこと?」ってなると思います。
全部「最後まで」読んで、そういうつもりでもう一回読むと、めっちゃ怖くなります。
怪談っていろいろな種類がありますが、オチがない怪談ってありますよね?なんでそうなった?とかどうしてそうなる?みたいに由縁が分からないものがあったりする。一方で古典怪談の番町皿屋敷みたいに由縁があるからこそ生まれる怪談もある。どちらも怪談だし、どちらも怖さを感じます。背筋さんのこちらの作品はちょうどそのギリギリのところを攻めていってるような気がします。因縁めいているのかそれともよく分からないから怖いのか…。その両方か…。
そして本のタイトルの「口に関するアンケート」。
最後まで読まないと、このタイトルの意味が分からない仕掛けになっています。
そして、この本の構造に気づくとき、あなたは現実なのか虚構なのか分からない感覚に陥るでしょう。フィクションであるはずの物語が現実になる瞬間に、まさに背筋の凍る恐怖を覚えることになります。是非、ご一読ください!