極寒の闇に挑む二人の刑事 「True Detective:Night Country」の緊迫感
HBOの大人気シリーズ『True Detective』の最新作、第4シーズン『True Detective: Night Country』を見ました!今回の舞台はアラスカの凍てつく大地。ま~、全編を通して寒い!そして全編を通して夜!なぜならこの物語は「極夜」の期間に起こる出来事を描いているからです。「極夜」とは南極や北極圏で起こる現象で、太陽が地平線から上がらなくなること。この現象のせいでなんと約2カ月もの間夜が続きます。ただでさえ寒いアラスカで太陽が2カ月も登らないなんて、人間だけでなくホッキョクグマにとっても厳しい期間なのだそうです。終始暗闇と寒さの続く映像が、シリーズ特有のダークでミステリアスな雰囲気と融合して、一度見始めると止まらない、一気見必至のドラマです。
ジョディー・フォスターの圧巻の存在感
主演を務めるのはジョディー・フォスター。ベテラン俳優としての彼女の渋さと演技力が、このシーズンの核を成しています。冷徹でありながらも人間味を感じさせる彼女の演技は、極寒のアラスカにピッタリ。ジョディー・フォスターが演じる刑事リズ・ダンバースは、過去に囚われつつも冷静に事件の真相を追う姿が印象的で、彼女の存在感がドラマ全体を引き締めています。
あらすじ
物語は、アラスカの小さな町エニス。ある夜、地元の研究施設で働く8人のスタッフ全員が忽然と姿を消します。やがてスタッフは雪の中から全裸で折り重なるように氷漬けにされた状態で発見されます。発見された全員の顔は何かとてつもない恐ろしいものを見たようなすさまじい恐怖に満ちています。捜査に乗り出したのはリズと彼女の相棒で先住民のナヴァロ刑事。この謎めいた事件を追う中で、二人は町に隠された秘密や、それぞれの過去と向き合うことになります。
犯人は誰なのか、それとも過去に惨殺されたアニーの呪いなのか…。この極寒のアラスカでは人ならざるものの存在を否定できない迫力があることは間違いありません。
シリーズのDNAをしっかりと継承
『True Detective』シリーズと言えば、緻密なストーリーテリングと不穏な雰囲気が魅力ですが、今作もそのDNAをしっかりと受け継いでいます。特に、「極夜」という舞台設定が、登場人物の心理状態や物語のトーンに大きな影響を与えています。終始漂う孤独感と緊張感は視聴者を画面に釘付けにし、事件の真相が少しずつ明かされるたびに新たな疑問が生まれる構成は、見事というほかありません。
そしてこのシリーズを語る上で外せない要素が二人の捜査官の関係性です。シーズン1~4まで異なる登場人物で、異なる事件が描かれていますが、シリーズに共通しているのは二人の捜査官の深い関係性を描いている点です。時にはいがみ合い反発しあいながらもその根底にはお互いを信じる強い絆があること、そしてただお互いを助け合うことにとどまらず、時には信じて手放すこともできるという、人間関係としては最高と言ってもいい極限までたどり着く様を私たちは見届けることになります。冷静さの中に熱いドラマを見ることができる、「バディもの」としては必見のドラマとなっています。
終わり方が呼ぶ多様な考察
今回のシーズン4の『True Detective: Night Country』も見ごたえがあって良かった!良かったんですけど、謎がひとつだけ残りました。詳しく書くとネタバレになってしまうので、あまり書けませんが「アニーの舌」はいったい誰が切り取って、だれが研究所に置いたのか?これが最後まで分からず、モヤモヤしてしまいました。ドラマの最終回、ダンバースが、舌が落ちていた辺りに何かが付着しているのに気付くような場面があるのですが、それが何なのかが気になっています。それが分かればこの謎が解けそうなのですが、いったい何だったのか…。
真冬の夜におすすめのミステリー
全編を通して寒さが感じられる『True Detective: Night Country』は、これからの冬の夜にぴったりのドラマです。その冷たい世界観の中にある熱いドラマと、ジョディー・フォスターの渋い演技に魅了されること間違いありません。まだ見ていない方は、ぜひ暖かい飲み物を用意して、この凍てつく謎に挑んでみてはいかがでしょうか。