キリアン・マーフィー主演「28日後」:ゾンビ映画を変えた傑作!人間らしさとは何か
28日後:ゾンビ映画の新たな基盤を築いた傑作
ダニー・ボイル監督の映画「28日後」は、ゾンビ映画というジャンルを大きく変革した作品です。2002年に公開されて以来、その斬新なアプローチと深いテーマ性で多くの観客を魅了しました。主演はキリアン・マーフィー。彼は2023年の映画「オッペンハイマー」でロバート・オッペンハイマーを演じ、アカデミー主演男優賞を受賞するなど、現在も輝かしい活躍を続けています。
あらすじ:28日間の空白がもたらす恐怖
物語は、動物愛護活動家がとある医療研究施設を襲撃するところから始まります。施設での動物虐待を疑い、被験動物であるチンパンジーを逃がすためです。研究所の職員はチンパンジーが危険なウイルスに感染していると警告しますが、活動家は聞き入れず、檻を開放してしまいます。直後、チンパンジーは活動家の一人に襲いかかり、負傷した活動家は苦しんだ後に凶暴化し仲間を次々と襲いだしました…。
バイオハザード発生から28日後、主人公ジムは、病院で昏睡状態から目を覚まします。彼が目にしたのは、人影のない荒廃したロンドンの街並み。後に判明するのは、人々が「レイジウイルス」という凶悪な感染症により凶暴化し、文明が崩壊してしまったという事実です。ジムは生存者と出会い、共に安全な場所を求めて旅を始めます。しかし、感染者の恐怖だけでなく、極限状態に置かれた人間同士の葛藤も次第に明らかになり、彼らを追い詰めていくのです。
ゾンビ映画の新境地
「28日後」がゾンビ映画の歴史において特筆すべき点は、その感染者の恐怖描写にとどまりません。本作で描かれるゾンビウイルスは人工的に開発されたものであり、その設定が映画全体に深い警鐘を与えています。ウイルスの感染がもたらすのは単なるパニックではなく、政府や軍隊といった社会機能が崩壊する恐怖、そして人間同士の信頼関係が失われ、暴徒化が進む様子です。ゾンビの襲来だけではなく、秩序の崩壊や新たに生まれる人間同士の危機が、この映画の真の恐怖を形作っています。生か死かの極限状態での人間らしさとは何か。何を守り、何を失うのか。自己犠牲や人間の尊厳とは何か。それはもしかしたら答えは一つではないかもしれません。こういった深い問題を観客に提示しています。ただのパニック映画やサバイバル映画にとどまらない、ゾンビ映画の新境地を開拓し、間違いなく近年のゾンビ映画に影響を与えた一作だと思います。
キリアン・マーフィーの圧巻の演技
本作でキリアン・マーフィーが演じるジムは、最初は無力で頼りない青年として描かれます。しかし、物語が進むにつれて、極限状況に適応し、自らの信念を持つ力強い人物へと成長していきます。キリアンの演技は、そんなキャラクターの変化を繊細に表現し、観客を彼の旅へ引き込んでいきます。後の「オッペンハイマー」で見せた深みのある演技の原点ともいえるこの役柄は、彼のキャリアにおいても重要な位置を占めています。
終わりに
「28日後」はゾンビ映画の枠を超え、人間社会の本質を描き出した作品です。ダニー・ボイル監督のビジュアルセンス、キリアン・マーフィーの熱演、そしてゾンビ映画に新たな地平を切り開いた設定は、現在もなお多くの作品に影響を与え続けています。こちらは2007年に「28週後」という続編が作られ、そして来年には「28年後」が公開されることが決定しました。今からとても楽しみです!
人間とは何かを深く考えさせられるこの映画、ホラー好きの方だけでなく、幅広い観客におすすめしたい一作です。