怖すぎる短編集:三津田信三「怪談のテープ起こし」

皆さん、こんにちは!今回はホラー回です。私が過去に読んだ三津田信三さんの「怪談のテープ起こし」について語りたいと思います。

ホラー界の名手

三津田信三さんといえば、2016年公開の映画「のぞきめ」の作者でありますが、私はこちらの方は未視聴かつ未読書で、本屋に行く度に探したり、アマプラで配信されないかなあと思ってはいるものの、まだ出会えていない状態です。では私の三津田信三さんとの出会いは何かと申しますと、まさにこの「怪談のテープ起こし」です。本屋さんで完全にジャケ買いです。タイトルと本の装丁に惹かれて買いました。読んでみてすぐに私の中のホラー小説化ランキングトップ5に入れさせていただきました!とにかく、その怖さは皆さんも読んでいただければ分かると思います。これは作り話なのか、それとも現実の話しなのか分からなくなって「これ、このまま読み進めても大丈夫なやつなのか?」って思わされます。良くできた「モキュメンタリー」として楽しむにはあまりにもリアルすぎる演出で、「マジで怖いものに出会いたい!」と渇望するホラーファンの皆さんの期待を裏切りません。

構成とあらすじ

こちらは「小説すばる」に2013年から2016年までに連載された6つの短編をまとめたものですが、単行本化にあたって「序章」「幕間(一)」「幕間(二)」「終章」のパートが書き加えられています。この追加パートが、単なる短編集としてだけではない、作品全体にまつわる「いわく」として効果を発揮して、読者の恐怖と妄想を極限まで掻き立てています。

本書巻頭となっている「死人のテープ起こし」は作者自身が語り手となり、まさに「テープ起こし」が怪異の引き金となるお話しです。編集者時代の三津田は、ある本の打ち合わせのためにフリーライターである「吉柳」と会います。この吉柳という男は「これから死のうという人間の肉声」が録音されたテープを何本も持っていて、それをまとめて一冊の本にすると言う話しを持ちかけます。三津田は後日、吉柳から3人の自殺者の最後を記録したテープ起こしの原稿を受け取り・・・という内容です。テープ起こしの原稿が死の間際の人間の生々しさをリアルに表現していて、読んでいると思わず本を閉じようかなと思うほどの禍々しさです!

私生活が怖くなる

このあと、三津田信三さんの作品を少しずつ読んでますが、どの作品も現実と虚構のあいまいなギリギリのところを攻めてきてくれます。まさに痒いところに手が届く状態。三津田さん自身から語られる恐怖の「あおり」が脳裏に焼き付いて離れなくなり、現実世界の自分の周りに、本当に「障り」が出てきてしまうのではないかと本気で怖くなれる作品ばかりですので、まだ三津田信三ワールドを未体験の方は是非ご一読してみてください。ちなみに本当に怪異が出現された方、たぶんいますよね?まさに怪を語れば怪至る!
こちらの三津田信三さんの「怪談のテープ起こし」は目の肥えたホラーファンでさえも真にぞっとさせてくれますので、読者の期待を裏切りませんよ。秋の夜長にホラーな読書を楽しみましょう。