ジェームズ・ワン監督のホラー世界:「インシディアス」と「死霊館」のつながり
今回はジェームズ・ワン監督作品をご紹介。
ジェームズ・ワン監督の衝撃のデビュー作が「ソウ」。ワンシチュエーションで展開される物語が斬新でした。圧倒的な閉塞感と焦燥感を観る者に与え、痛くて怖くて逃げられない恐怖を見せつけられました。その後も次々と名作を生みだして、今なおホラー界を席巻する監督の一人です。
「ソウ」は「ジグソウ」と呼ばれる謎の人物が自身の独特な哲学的な目的により、捕らえた人々を残酷なゲームに引きずり出していくという、身の毛もよだつようなシーンが満載のホラーですが、今回取り上げる「インシディアス」と「死霊館」はまさに人ではない存在の「悪魔」や「呪い」をテーマとしています。
インシディアスのあらすじ
ある幸せな一家が新居に引っ越します。ほどなくして、長男のダルトンが昏睡状態に陥ってしまいます。そのあたりから家の中で奇妙な現象が起こり始めます。ダルトンの昏睡の原因は医者にも分からず、夫婦は女性霊媒師のエリーズに助けを求めます。エリーズから、ダルトンには幽体離脱能力があり、「あちらの世界」から魂が戻れなくなっていると告げられ、このままにしておくと空っぽになった肉体を悪魔に乗っ取られてしまうと言われます。にわかに信じられない父のジョシュは一度はエリーズを追い返すものの、妻や家族とともにダルトンを取り戻すため悪霊に立ち向かう決断をし、エリーズの儀式に協力します。しかし、儀式を進める中で徐々にジョシュの過去が明らかになり、悪霊がただものではないことを知るはめになります。
死霊館のあらすじ
実在の超常現象研究家のウォーレン夫婦がこれまでに調査したものの中で、「最も邪悪で恐ろしい事例」として封印してきた、1971年に体験した衝撃の事件を基に描かれた作品。
若い夫婦と5人の娘のペロン一家が新居に引っ越して来ます。古い屋敷でも念願のマイホームに喜ぶペロン一家。ですが、入居した翌日から奇妙な現象が多発。困り果てたペロン一家は超常現象の専門家であるエドとロレイン・ウォーレンに助けを求めます。ウォーレン夫妻は彼らの家を調査する中で、家にまつわる恐ろしい過去と家に棲みつく悪霊の邪悪さに気づきます。命の危機を感じながらも強い意志で悪霊に立ち向かう夫妻とペロン一家の死闘が描かれます。
一方、もう一つのストーリーラインである「アナベル人形」も登場し、こちらを題材としたシリーズも出ています。どちらも実話に基づく話となっているので怖さは保証します。
2つの作品に共通するテーマ
「インシディアス」と「死霊館」シリーズには、直接的なストーリーのつながりはありませんが、両作品には共通のテーマや手法が多く見られます。どちらの作品も、「悪霊」や「過去の因縁」、「呪い」などといった超常現象をテーマにしており、ワン監督の恐怖に対する演出の特徴が深く反映されていると言えます。恐怖の舞台となるのはどちらも平凡な一家という日常の空間です。そのような日常に潜むみえない恐怖が、作品全体の不気味さを強調しています。
また、悪霊に標的にされた家族を救うために霊的な力を持つ女性が助けに現れる点も共通しています。「インシディアス」では霊媒師エリーズが、家族を「あちらの世界」から救い出そうとし、「死霊館」では、実在の霊能力者ロレイン・ウォーレンが家族を悪霊の脅威から守るために登場します。どちらも女性であることで、「直観力」や「共感力」の高さを根本に印象付けて、スピリチュアルな役割を果たしていると言えそうです。また母性なども感じさせて、「家族愛」や「親子愛」なども強調しているのかもしれません。
まとめ
ジェームズ・ワンのホラー作品には、ただの怖さではなく、観客が心理的に圧迫感を感じるような重圧感があるように感じます。また、家族が立ち向かう姿や、スーパーウーマン的な霊媒師の登場などで、観客を高揚させる要素もしっかりと持ち合わせていて、エンターテイメントとしてもばっちり楽しめる映画となっています。まだ見ていない方はどちらの作品もシリーズとして出ていますので、ぜひ、見てみてください!