
中田秀夫監督作品ホラー映画特集:#2『事故物件 恐い間取り』
『事故物件 恐い間取り』とは?
中田秀夫監督作品特集、2回目は2020年8月公開の『事故物件 恐い間取り』です。松原タニシさんのノンフィクション書籍をもとに製作されたホラー映画で、主演が亀梨和也さんということで、話題を集めました。お笑い芸人の松原タニシさんは、北野誠さんが出演するテレビ番組の企画で事故物件に住むことになります。番組の企画で始まったものの、その不思議な現象に見舞われる体験を楽しむために、企画終了後も転々と事故物件に住み続け、2020年4月時点では約10件もの事故物件に住み続けたというツワモノです。
映画では主人公の名前を「山野ヤマメ」と変えて登場。おおすじとしてはタニシさんの体験をもとに製作されています。
あらすじ
物語の主人公は、売れない芸人・山野ヤマメ(亀梨和也)。彼はテレビ番組の企画で“事故物件”に住みながら心霊体験をリポートすることになります。最初は半信半疑だったヤマメですが、やがて次々と奇妙な現象に遭遇。番組の影響で人気が出る一方で、事故物件を転々とするたびに恐怖がエスカレートしていきます。
コメディ要素も交えたホラー
本作の特徴は、ホラーだけではなく、ユーモラスなシーンを取り入れるなどコメディの要素も含まれている点にあると思います。実際のお笑い芸人の方々も数多く出演していて、監督の遊び心が感じられます。あれれ、中田監督、ジャパニーズホラーをやりすぎてコメディをやりたくなったのかな?
不動産屋の江口のりこさん演じるキャラクターも、なかなかクセの強いキャラとなっていて、ヤマメに嬉々として事故物件を紹介するさまが異様にも感じられます。その一方で、彼女は劇中で相方に除霊の仕方を指南するなど、「いったいなにもの?」感がすごいです。ただ、彼女に訪れるラストは衝撃的な展開になっており、笑いと恐怖が交錯する作品となっています。
恐怖のポイントと課題
最後に登場する黒い霊の正体がいまいちはっきりせず、怖さを引き立てるにはもうひと工夫欲しかったところです。一方で、2件目の事故物件で登場する老婆の霊は不気味でリアル。本作で一番ゾッとする場面でした。押し付けられた水の中で何かを懸命に叫んでいましたが、あれはなんて言ってるのですかね。なにか重要なことのような気がしますが、聞き取れませんでした。この2件目の事故物件に焦点を当てて掘り下げたら怖かったような気もします。複数の事故物件を扱うことでエピソードの連続になり、怖さが分散されてしまった印象です。
個人的には全体的なホラー要素としてはややパンチが弱く、恐怖に欠ける印象もありました。過去作を期待してみるとやや肩透かしを食らった気分にもなりますが、中田監督のおちゃめで優しい人柄が現れているようにも感じて、これはこれで、楽しみました!
まとめ
亀梨和也さんの好演もあり、ホラーエンターテイメントとしては十分楽しめる作品です。気軽に観られるホラーとして、怖い話が苦手な方や、お笑い芸人好きな方にはおすすめできる一本です!