
中田秀夫監督作品ホラー映画特集:#10最終回『リング』
中田秀夫監督のホラー作品を10作品取り上げて、忘備録のように感想を残しました。今回は最終回を飾るにふさわしい中田秀夫監督の大出世作『リング』です。
1998年に公開された『リング』は、日本ホラー映画の金字塔として今もなお語り継がれています。中田秀夫監督によるこの作品は、「最恐ホラー」の名にふさわしく、全世界に不気味で背筋が凍るような恐怖をもたらした作品といえるでしょう。数多くのホラー映画を観てきた方でも、この映画を超える恐怖を即座に挙げるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
貞子のビジュアルはもはや定番
『リング』の最大の功績のひとつは、「貞子」というキャラクターを生み出したことです。長い黒髪、白い服、細くゆらゆらと動く異形の姿。このビジュアルは、今やホラーの象徴として完全に定着しました。幽霊と聞いて、9割の人が貞子のような女性を思い浮かべるのではないでしょうか。この映画が、現代のホラー界に与えた影響は計り知れません。
呪いのビデオの圧倒的な不気味さ
『リング』の恐怖の中核をなすのが、呪いのビデオの存在です。このビデオの内容は、今観てもなお強烈なインパクトを持ちます。意味不明な映像の連なりが、不穏な空気を漂わせ、観る者の不安を煽ります。何が映っているのか、何を示しているのかがはっきりしないからこそ、余計に怖い。『良く分からないもの』の描き方が絶妙なのです。『リング』は90年代の映画でありながら、その恐怖の本質は決して色褪せません。この普遍的な恐怖こそが、この映画を名作たらしめています。時代が変わり、映像技術が進歩しても、『リング』が与える恐怖は変わらないのです。
これを超えるホラー映画は存在するのか
『リング』を超えるホラー映画を探し続けている人は多いのではないでしょうか。もちろん、優れたホラー映画は数多くありますが、あの「呪いのビデオ」を初めて観たときの戦慄を超えるものはなかなか見つかりません。それほどまでに、この映画が与えたインパクトは絶大でした。
ホラー映画好きならば、一度は通るべき道。それが『リング』です。未見の方は、ぜひ今からでも観てください。語るよりも、観ることがこの恐怖を知る最良の方法です。
まとめ
これまで中田秀夫監督の作品を10作品、観てきましたが、その作風の幅広さには驚かされます。シリアスでこの上ない恐怖を描く作品もあれば、近年ではコメディ色が強めの作品や、アイドルや子役を多く起用した作品もあり、監督の引き出しの多さを改めて感じさせられました。監督自身も語っているように、「ホラーにアクティブさを出していく」ことだったり、「90年代までのJホラーにエンタメの要素を追加していく」ことを追求した作品を近年では多く発表しています。今までと同じことだけでは観客が満足しない、新しいことにチャレンジしていくんだ、という監督の強い意志が感じられます。ホラーと、一口に言ってもジャンルは多種多様、観客のニーズも広がり続けています。それに対応するように監督の進化もまだまだ止まらない!これからも最恐で最高なホラー映画を期待しています!