中田秀夫監督作品ホラー映画特集:#8『禁じられた遊び』

『禁じられた遊び』レビュー:本格ホラーとしての完成度

中田秀夫監督作品第8回目は、2023年公開のホラー映画『禁じられた遊び』です。こちらは、清水カルマさんの同名ホラー小説を映画化した作品です。主演は橋本環奈さんと重岡大毅さん、夫に執着して生霊となる役をファーストサマーウイカさんが怪演しています。近年の中田秀夫監督の作品の中では、しっかりとしたホラー演出が光る一作でした。

ファーストサマーウイカの生霊が怖すぎる

本作で最も印象に残ったのは、ファーストサマーウイカさんの好演でしょう。彼女が演じる井原直人(重岡)の妻、美雪が生霊となって現れるシーンは、普段テレビなどで見せる、明るいはつらつとした印象の彼女と真逆で、おどろおどろしい執念と怨念を感じさせ、めちゃくちゃ怖くて見事でした。

橋本環奈の演技がホラー向き

橋本環奈の絶叫と恐怖におののく表情も、本作の見どころの一つです。彼女の持ち前の可愛らしさが、恐怖に染まった瞬間に一気に壊れるギャップが強烈なインパクトを生み出していました。やや顔芸に走った感は否めませんが、彼女の悲鳴は観客にまで恐怖を伝染させるほどリアルで、ホラー映画のヒロインとしてのポテンシャルを改めて感じました。

ストーリーは面白い

単なるホラーに終わらず、ストーリー自体も楽しめる内容でした。ただ怖がらせるだけの映画ではなく、呪いや怨念の背景がしっかり描かれており、怨念の塊となってしまった美雪のバックグラウンドが気になる展開が続きます。単に夫に執着する妻の念だけではなく、非常に思い過去を背負っていることで物語に深みが出ました。美雪の過去に何があったのか映画では、完全には明かされていない部分が多く、「実はもっと何かやらかしているのでは?」と余韻を残す描き方が良かったです。

霊媒師・大門の最期があっさりしすぎも存在感は◎

悪魔祓いの霊媒師・大門が登場したときは、「いよいよ本格的な対決が始まる!」と期待したのですが……あっさり美雪に呪い殺されてしまい、「あれ~?大丈夫か、この展開は…」と不安になりましたが、相棒の黒崎くんのイケメンパワーで、何とか持ちました。大門先生はもっと強いキャラかと思いきや、まさかの瞬殺で拍子抜けしましたが、これはこれでホラーらしい絶望感を演出していたとも言えます。シソンヌの長谷川忍さんの演技がとても良かったです。

まとめ

『禁じられた遊び』は、正統派ホラー映画として楽しめる作品でした。橋本環奈の演技、ファーストサマーウイカの怪演、そしてストーリーの面白さが見事に絡み合い、単なる恐怖体験以上の満足感を得られる作品になっています。スピンオフの可能性も感じさせる奥深さもあり、ホラーファンならチェックしておいて損はない一作です。